服部孝彦
「研究所だより」17号では、文の分類について述べます。文は主観的な文と客観的な文、抽象的な文と具体的な文に分けることがでます。
この主観的表現と客観的表現、抽象的表現と具体的表現を混同することなく的確に分類できるようになると、持っている情報を適切に整理することが可能です。
以下、それらの分類ができるようになるための教材例を見てみることにします。
まず主観的な文と客観的な文を見分ける練習をします。
主観的な文とは、自分の考えや感じ方を表現した文です。これに対して客観的な文とは、数値などの明確な判断基準となる要素に基づき表現された文です。
次の文の下線部は主観的か客観的かを答えなさい。 | |
---|---|
1. My mother teaches at elementary school. 2. The dog next door is noisy. 3. This is a cozy room. 4. My dog is German shepherd. 5. Reading is boring. | |
隣の犬がうるさいと思うか、部屋がこじんまりしていると思うか、読書がつまらないと感じるかどうかは人によって異なるので2、3、5は主観的な文です。これに対して母親が小学校の教員であることと、自分の飼っている犬の種類がジャーマンシェパードであることは事実であるので1と4は客観的な文です。 |
続いて抽象的な文と具体的な文を見分ける練習をします。
抽象的な文とは、限定されていない曖昧な表現を使って書かれた文です。
これに対して具体的な文とは、数値や形などで限定された明確な表現を使って書かれた文です。
次の文の下線部は抽象的か具体的かを答えなさい。 | |
---|---|
1. This pond is very deep. 2. My room is small. 3. This donut is 100 yen. 4. My brother is tall. 5. This pond is 23 meters in diameter. | |
1、2、4はどの程度深いか、小さいのか、背が高いのかをはっきりと述べていないので抽象的な文です。これに対して 3と5は100円、23メートルと数値が示されているので具体的な文です。 |
「研究所だより」13号から17号では、パラグラフ・ライティング力育成の指導に必要な、基礎から発展へとステップを踏んだ系統的な教材開発の在り方を、論理の一貫性という視点から情報の分類整理を中心に考察しました。英語の文章をミクロ的に考えると、論理の一貫性と共に結束性が重要となります。論理の一貫性と結束性は車の両輪といえるもので、両方の力を十分につけなければ優れた英文は書くことができず、アカデミック・イングリッシュの力をつけることはできません。