大妻女子大学英語教育研究所 The Institute for Research in English Education

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研究所だより

第2号(2017年夏号)英語のリズム(2)

服部孝彦

英語は強く発音される部分と弱く発音される部分の組み合わせによってリズムが作られているということを私たちは「研究所だより」2017年春号で学びました。夏号ではこのリズムについて、英語らしく発音したり上手に聞き取ったり出来るようになるために、さらに詳しく基礎から学習することにします。

ご存知のように英語にはアクセントがあります。アクセントとは、音節ごとの発音で他の音節より強く発音される所のことです。音節とは、母音を中心として前後に切れ目があると感じられる音声上の単位です。音節は母音と子音から成り立っています。ここで母音と子音の違いについて説明しておきましょう。

われわれは音を発するとき、肺から空気を出します。この空気が舌や唇で邪魔されることなく口を通過するときに発する音のことを母音といいます。これに対して空気が舌や唇で邪魔された音は子音といいます。強く発音される、すなわちアクセントがおかれるのは母音の部分です。

 音節が1つしかない単語で、かつ1語で意味を持つ語は、
walk
 ●
のように母音の部分を強く発音します。なおここでは強く発音する母音の部分を●で示しました。
ただし、母音の部分を強く発音する語は1語だけで意味を持つ内容語とよばれる語の場合です。on, at, theなどそれ自体はっきりとした意味を持たず文法的なつながりとして働く機能語とよばれる語の場合は、母音の部分が強く発音されることはなく、単語全体が弱く発音されます。

音節が2つになるとどうでしょうか。音節とは、先にも述べましたとおり、母音を中心とした音声上の単位ですから、2音節の場合、音声上の単位が2つあることになります。そして内容語ではどちらかの音節の母音が他の音節の母音より強く発音されるのです。例をみてみましょう。walkerという単語は次のように発音されます、
walk・er
 ●  ・

ここでは強く発音される母音の部分を●で、弱く発音される母音の部分を・で示しました。walkerはwalk・erと書かれていますが、これは辞書などでもお馴染みのとおりwalkerという単語がwalkとerの2つの音節にわかれているということを示している書き方です。 アクセントがおかれている●はものすごく強く発音する必要があると考えがちですが、そうではありません。●はやや強くはっきりと少し長めに発音すればよいのです。●に対して・は弱く、短く、素早く発音することが大切です。●と・の差が大きければはっきりとした強弱のリズムがつきますので、●を特別に強く発音する必要はありません。それよりむしろ・を弱く、短く、素早く発音すると、より英語らしくなります。

著者紹介

服部孝彦(はっとり・たかひこ)

本研究所所長、本学教授。

初等・中等・高等教育を日米両国で受けた元帰国子女。言語学博士(Ph.D.)。大妻女子大学助教授、米国ケンタッキー州立ムレー大学(MSU)大学院客員教授を経て現職。早稲田大学講師、米国セント・ジョセフ大学客員教授を兼務。国連英検統括監修官、元NHK英語教育番組講師。著書に文科省検定中学英語教科書『ニューホライズン』(共著、東京書籍)ほか、著書は150冊以上。日本に本拠地を置く現在でも日米間を一年に何往復もしながら、米国の大学での講義・講演、国際学会での研究発表を精力的にこなす。