大妻女子大学英語教育研究所 The Institute for Research in English Education

大妻女子大学英語教育研究所 The Institute for Research in English Education

MENU

研究所だより

第3号(2017年秋号)英語のリズム(3)

服部孝彦

強勢拍リズムを持つ英語では、強く発音される母音の部分は等間隔に現れる傾向があるということはすでに述べました。秋号では、等間隔に現れるとはいったいどういうことなのかを詳しく具体例と共にみていくことにしましょう。
 1から5の数を、実際に声を出して発音してみて下さい。

one   two   three   four   five

●    ●    ●    ●    ●

1から5は全て1音節語ですので●の部分を等間隔で発音するのは簡単です。さて、次に6から10の数を発音してみて下さい。

six   seven   eight   nine   ten

●   ● ・    ●    ●    ●

今度はsev・enのみ2音節語で他の4つの語は1音節語です。そこで2音節語であるsev・enを1音節語である他の4語と同じような時間で読んでしまっては、sev・enのみが間のびしてしまい、●の等間隔はくずれてしまいます。そこでsev・enの強く発音すべき最初の音節sevは他の1音節語の音節より強さを変えずにほんのわずか短めに発音し、そしてsev・enの2つ目の音節enは、弱く、短く、素早く発音しなければなりません。
 もう1つ例をみてみましょう。

(1) One   Two   Three   Four
   ●     ●     ●    ●
(2) One   and   Two   and   Three   and   Four
  ●    ・      ●  ・      ●   ・     ●

(1) のOne, Two, Three, Fourは全て強く発音されます。つづいて、間にandを入れます。andは弱く発音されますが、(1) のOneとTwoを発音するのに要する時間と、(2) のOne and Twoを発音するのに要する時間は等しいので,andは弱く、短く、素早く発音されなければなりません。

今度は文を例に強勢の規則的なくり返しのリズムを理解しましょう。Jack loves planes.という英文のリズムは


(1) Jack loves planes.
  ●  ●   ●
です。
 続いてJack could have got on the plane.という英文をみてみましょう。この文のリズムは
(2) Jack could have got on the plane.
  ●  ・   ・   ● ・ ・  ●
となります。(1) の文の動作を表す語はlovesで (2) の文の動作を表す語はgotですが、アクセントは共に3ヶ所です。(1) と (2) の英文はほぼ同じ時間で読まれますので、(2) の文のcould haveとon theの所はとても弱く、短く、素早く発音されなければなりません。
著者紹介

服部孝彦(はっとり・たかひこ)

本研究所所長、本学教授。

初等・中等・高等教育を日米両国で受けた元帰国子女。言語学博士(Ph.D.)。大妻女子大学助教授、米国ケンタッキー州立ムレー大学(MSU)大学院客員教授を経て現職。早稲田大学講師、米国セント・ジョセフ大学客員教授を兼務。国連英検統括監修官、元NHK英語教育番組講師。著書に文科省検定中学英語教科書『ニューホライズン』(共著、東京書籍)ほか、著書は150冊以上。日本に本拠地を置く現在でも日米間を一年に何往復もしながら、米国の大学での講義・講演、国際学会での研究発表を精力的にこなす。