大妻女子大学英語教育研究所 The Institute for Research in English Education

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研究所だより

第4号(2017年冬号)英語のリズム(4)

服部孝彦

ここまで英語のリズムの勉強をしてきますと、賢明な学生の皆さんはaやandのように常に弱く発音される語と人や物の名称のように常に強く発音される語があることに気づかれたと思います。実は秋号で内容語と機能語の説明をしたときにこのことについて少し触れたのですが、冬号では、さらに詳しく具体例と共に学習することにしましょう。

 Can you come to my room? のリズムは

 Can you come to my room?

  ・ ・ ●  ・  ・ ●


です。品詞別にみますとcanは助動詞、youとmyは人称代名詞、toは前置詞で共に弱く発音されます。
comeは動詞、roomは名詞で共に強く発音されます。


He was alone in his room. のリズムは

 He was alone in his room.

 ・ ・ ・● ・ ・  ●

です。品詞別にみますとheとhisは人称代名詞、wasはbe動詞、inは前置詞で共に弱く発音されます。。
aloneは形容詞、roomは名詞で共に強く発音されます。

 Where did she go on her vacation? のリズムは


 Where did she go on her vacation?

  ●  ・ ・ ● ・ ・ ・●・

です。品詞別にみますとdidは助動詞、sheとherは人称代名詞、onは前置詞で共に弱く発音されます。
whereは疑問詞、goは動詞、vacationは名詞で共に強く発音されます。
以上の例から、品詞別に整理しますと原則として常に強く発音されるのは名詞、形容詞、動詞、副詞、疑問詞です。逆に原則として常に弱く発音される語は冠詞、人称代名詞、be動詞、助動詞、前置詞、接続詞、関係詞です。

 冬号では強く発音される語と弱く発音される語とを系統的に理解するために、品詞別にまとめてみました。しかし、皆さんの中には、文法用語はどうも苦手とおっしゃる方もおられることと思います。また学習塾講師や家庭教師として英語を教えている方たちは、生徒に品詞を教えようとすると英語嫌いを作り出してしまうと考えておられる人もいることでしょう。ですから、あまり品詞にこだわらないようにしましょう。要するに文を理解する上で意味上重要な語は強く、長く、はっきりと発音され、意味上さほど重要でない語は弱く、短く、素早く発音されると理解しておけばよいのです。

 以上で春号から続きました英語のリズムに関する勉強は終わりになります。もう少し学習を深めたいという方はCD付の拙著『話せる聞ける英語のリズム感』(アルク)をお読みになり、また付属のCDをご活用され英語のリズムを身につける練習をして下さい。2018年4月の春号からは、コミュニケーションについて、理論及び実践の両面から、具体例を取り上げながら学習します。2018年も引き続き皆さんと共に英語学習をenjoyしたいと思います。
著者紹介

服部孝彦(はっとり・たかひこ)

本研究所所長、本学教授。

初等・中等・高等教育を日米両国で受けた元帰国子女。言語学博士(Ph.D.)。大妻女子大学助教授、米国ケンタッキー州立ムレー大学(MSU)大学院客員教授を経て現職。早稲田大学講師、米国セント・ジョセフ大学客員教授を兼務。国連英検統括監修官、元NHK英語教育番組講師。著書に文科省検定中学英語教科書『ニューホライズン』(共著、東京書籍)ほか、著書は150冊以上。日本に本拠地を置く現在でも日米間を一年に何往復もしながら、米国の大学での講義・講演、国際学会での研究発表を精力的にこなす。